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森智勝先生の「地域1番塾」への道vol.2

森 智勝(もり ともかつ) <プロフィール>
全国学習塾援護会 主宰、塾生獲得実践会 代表
・26歳で学習塾設立、7教室を経営する。
・平成14年 塾専門のマーケティング勉強会「塾生獲得実践会」設立
・平成18年 「全国学習塾援護会」設立
・現在、全国各地で塾経営者を対象としたセミナーの講演、スタッフ研修に奔走。
全国私塾情報センター主催の「春季大都市縦断セミナー」「地方塾セミナー」に講師として参加。
机上の空論ではない具体的な内容と、参加者にプラスのエネルギーを生じさせる講演には定評がある。今、最も支持されている塾経営アドバイザーの一人。

2012.11月号-面倒見の良さで地域№1になるために1‐

私が中小塾の経営者に必ずする質問があります。


「あなたの塾の特長は何ですか?」


すると、大抵の経営者が、

 

「う~ん」

 

と考え込み、
その後、8割の方が

 

「やっぱり、面倒見がいいことですかね…」

 

と答えます。
ここで考えてほしいのは、

「8割の塾が主張していることが本当に特長と呼べるかどうか」

ということです。
また、最も重要なことは、
その特長が地域に認知されているかどうかという問題です。
ある塾長は言います。

 

「当塾は1クラス12名までの少人数集団クラスですから、
教室に30人も40人も詰め込む大手塾よりは面倒見良く指導することができす」


一見正しい主張のようですが、保護者から見ると別の解釈が成立します。

 

「同じ集団指導ならば、30人も12人も変わらない。
教師の指導力(技術)が最も重要だ」


少なくとも、ただ定員が少ないだけで、

「面倒見が良い」

という認識を保護者が持つことはありません。
ある塾長は言います。

 

「当塾は講師:生徒が1:2の個別指導だから、
集団指導塾よりも面倒見良く指導することができます」


これも、残念ですが保護者視点から見ると成立しません。
保護者はこう考えています。

 

「もともと、高い授業料を払って個別指導塾に通わせているのだから、
そんなことは当然だ」


我々塾経営者が思っている以上に評判を作ることは難しいのです。

「感動の法則」

について簡単に説明します。
人は、常に一定の期待値を持って物事を見ています。
例えば、
缶コーヒーを買う時は120円分の期待値を持っていると考えることができます
そして実際に飲んでみて、その期待値に届いた時、人は「満足」と表現します
そこに届かないのは全て「不満」です。
ところが人は、満足では行動(口コミ・リピート)に移しません。
なぜなら、「120円の対価」を払っているのだから、
120円分の満足を得るのは当たり前だ」と考えているからです。
この満足を超えた部分を「感動」と呼びます。
人は感動の領域を味わうと、今度は行動に移したくて仕方がなくなります。
自分が得た感動を誰かと共有したくなるのです。


「あの映画見た?すごく面白いよ」「あそこのパスタ、とても美味しいよ」


と、自ら口火を切って友人に話し始める…あの現象(口コミ)を生じさせます。
こうして考えると、いわゆるウォンツで成り立つビジネスの方が、
口コミ・評判を広げやすいことが分かります。
ところが塾は、歯医者と同じくニーズで成り立っているビジネスです。

 

「あそこの歯医者、すごく上手だよ」

 

と、自ら口火を切って話し始める人は稀です。
塾で言うと、いくら塾側が、


「面倒見良く教えています」「とことん指導します」

 

と主張しても、

 

「そんなこと当たり前じゃない。だって、高い授業料を払っているのだから…」


と思われるだけです。
口コミ・評判を拡げるためには、
圧倒的な感動…大きなインパクトを提供することが重要です。
ちょっとやそっとの「面倒見の良さ」では通用しないのです。
では、地域で「面倒見が良い」という評判を作っている塾は、
どんな「圧倒的な感動」を提供しているのでしょうか。
一例を紹介します。


最近、いくつかの塾が実践を始めた企画に「早朝特訓」があります。
定期テスト当日に早朝から指導し、
最後のチェックをしてテストに向かわせるのです。
朝食も塾が用意します。
夜の仕事である塾にとって、早朝からの授業は「辛い」の一言です。
でも、だからこそ大きなインパクトを与えることができます。
近隣他塾が実施していないのでしたら、
真っ先に実行することをおススメします。
そして、どうせやるなら徹底することです。
何事もそうですが、楽をして得られる果実はありません。
あるセミナーで「早朝特訓」の話をしたところ、
ある塾経営者から報告がありました。

 

「当塾も早朝特訓を実施しました。
7時15分から1時間、最後のチェックをしてからテストに向かわせました」


「???7時15分??どうしてそんな時間からなのですか?」


「いえ、そんなに早くから始めても、生徒が誰も来ないと思って…」


「違う。誰も来なくても6時から始めるのです。
そして誰もいない教室の外に立って、生徒を迎えるのです。
最初の一人に対して、
『よく来てくれたね。ありがとう。さあ、頑張って勉強しよう』
と、一緒に教室に入ってください。
きっと、その生徒は感動して親に話しますよ。
『寒い中、先生が外で待っていてくれた』って…」


前述したように、塾人にとって早朝は一般の人の真夜中のようなものです。
同じ辛いことをするなら、覚悟を決めて徹底してほしい。
7時15分からではなく、せめて6時からの実施が必要です…


このやりとりを紹介したセミナーの参加者の一人は、
なんと早朝5時からのテスト対策授業を始めました。
1年後の今、

「面倒見の良い塾」

の評判を地域に定着させることに成功しています。

「早朝特訓」

は1つの例ですが、
人は具体的な事例を見て抽象的なイメージを持つ性質を持っています。

「早朝5時からのテスト対策授業」

という具体的な、

『形』

を見てやっと、

「あの塾は面倒見が良い」

という抽象的なイメージを持ちます。
評判を作るということは、
どれだけ具体的な

「形」

として提供できるかにかかっているのです。

 

塾生獲得実践会(全国学習塾援護会)
森 智勝

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