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森智勝先生の「地域1番塾への道」vol.37

森 智勝(もり ともかつ) <プロフィール>
全国学習塾援護会 主宰、塾生獲得実践会 代表
・26歳で学習塾設立、7教室を経営する。
・平成14年 塾専門のマーケティング勉強会「塾生獲得実践会」設立
・平成18年 「全国学習塾援護会」設立
・現在、全国各地で塾経営者を対象としたセミナーの講演、スタッフ研修に奔走。
全国私塾情報センター主催の「春季大都市縦断セミナー」「地方塾セミナー」に講師として参加。
机上の空論ではない具体的な内容と、参加者にプラスのエネルギーを生じさせる講演には定評がある。今、最も支持されている塾経営アドバイザーの一人。

2015.11月号‐子どもをやる気にさせる地域№1塾になるために12‐

‐保護者の啓蒙は一筋縄ではいかない?-

「子どもをやる気にさせるためには、
塾教師だけではなく保護者の協力も必要だ。
そのためには保護者を啓蒙することも塾の役割だ」

 

と、先月号でお伝えしました。
先日、某集団塾から次のような相談が来ました。
この塾は徹底したテスト対策で圧倒的な成績向上を挙げています。
ちょっと長くなりますが、いずれ皆さんにも降って来る災難?かもしれません。
自分のことと思って考えてみてください。

ご相談があります。
今日の授業後、中2男子のお母さんからクレームをいただきました。
状況と内容は以下の通りです。

その生徒(A君)は小3から当塾に通っています。
当時から勉強ができる方ではなく、今でも学業不振にあえいでいます。
中1から現在まで、五教科合計で250点~300点です。
3つ上の兄は小5から現在まで塾に通っている○○高校(地区の№2)2年生で、
1つ上の姉は小4から現在まで塾に通っている中3受験生です。

お母さんが切り出したのはテスト対策スケジュールのこと。
A君は野球部で、今週末は地区大会で○○県に行きます。
今週末はまさにテスト対策が始まる時期で、土日とも参加できないとのことです。
特に日曜日の夕方からの全員参加の補習に参加できないことが不公平と言います。

 

 

 

お母さん
「全部の補講に出られる人は、それは成績が上がるでしょう。
うちの子は出られず、それで中2平均点が400点だとかなんとか…
そんなのに比べられても困ります。
全員参加なのに、参加できないことがある。
そこがすごく不公平に感じます。
ずっとこの1年半、そう思っていました」

 


「塾を長時間開放するのは、もし部活で午前中出られなければ午後に、
午後に部活があるなら午前に、日中ダメなら夜に参加する。
一日のどこかにひっかかって、どこかの時間帯に来てくれる。
そんな風に、少しでも勉強時間を増やすためなんですよ。
出席できないのであれば、その日に使用するプリントを配って、質問も受け付けます」

 


お母さん
「うちの子は元々できないのは分かっています。
だからプリントをもらっても家で出来ません。
特に数学は苦手だから。
対策に出られなくて成績が悪くなっている可能性があるんだから、
学校が午前帰りの日とかあるので、その日の午後に対策をしてもらえませんか?
特に、全員参加になっている時間帯の振替くらいは…」

 

 


「分かりました。
まったく同じ時間は確保できないかもしれませんが、
出来る限りのことは検討してみます」

 

 

お母さん
「この塾は野球部の子が多いんだから、ぜひやってください。
他の子たちは成績がいいから、(やらなくても)いいかもしれないけど…」

 

 


玄関での立ち話しもよくなかったかもしれません。
完全に押しまくられた感じです。

テスト対策の件…どこまで要望を聞いていいのやら。
野球部対象に振替を設定したら、他の部活はどうするの?
すべて要望を聞かなければならなくなります。
(ちなみに、
野球部でテスト対策に参加できないとクレームがあったのは今のところ、この1件だけです)

三兄弟を通わせてくれる家庭ですし、実は家業が新聞店で、
いつもチラシ折り込みでお世話になっています。
私としては例外を作りたくないのですが…
先生だったらどんな考え方をしますか? そしてどんな解決策をとりますか?

それにしても困ったクレームですね
その母親は何が不公平だと言っているのでしょう
文面を読んでいると、

 

「不公平だから我が子が参加できない試験対策授業はするな」

 

と言っているように聞こえます。

あくまでも最後は先生の決断ですので、ご要望の「私なら…」をお話します。

①突っぱねる

全ての顧客の要望に応えるのは無理です。
老舗の饅頭屋が、

 

「もう少し甘い饅頭を作ってください」

 

という1人の客の要望に応えだしたら、店の味は崩壊します。

 

「みんなが美味しいと言っているのに、私だけ味の好みに合わないのは不公平だ。
私も美味しいと感じる饅頭を作れ」…

 

まあ、当の母親が言っているのは、それと同じようなことです。
客の理不尽に合わせるのは無理です。

 

「でしたら、お客様の好みに合わせた味の饅頭を
オーダーメードで作ってくれる饅頭屋に行って下さい」

 

と、私ならば答えます。


「申し訳ありません。
集団指導塾の限界として、部活で参加ができない生徒のための振替授業は困難です。
当塾としては最後まで、せめて高校受験まではお世話がしたかったので残念でならないのですが、どうぞ、お母さんの要望に応えてくれる塾に転塾して下さい。
ご期待に応えられなくて申し訳ありません」

 

まあ、私の性格からして、これが一番の選択肢ですね。

 

②とことん付き合う

 

ひっかかるのが、

「全員参加の補習」です。

参加必須の対策授業って???

基本、塾は

「行っても行かなくてもいいところ」

ですから、当然、テスト対策も任意参加のはずです。
もし、

「全員参加」

を塾が必修として課しているのでしたら少し状況は違います。
まあ、それでも通常授業と同じ扱いですから、振替授業は無理ですが…。

ところで、日曜日夕方からの

「全員参加授業」

って、何時間の対策授業なのでしょうか。
例えば、午後6時~9時の3時間だとします。
その場合…


「定期試験前のテスト対策は、部活が実施されても参加できるように
午前9時から午後9時までの12時間、教室を開放していました。
日曜日に部活があっても、夜の部ならば全員が参加できると思い、
その時間帯は全員出席を前提とした対策補講としてきました。
(もちろん塾ですから、強制できないことは重々承知の上で…)

 

ところが最近、一部の部活生の

 

「遠方での大会・練習試合のため、2週間前の対策授業に参加したいのに参加できない」

 

という声を聞きました。

 

「生徒の学力向上のために出来ることは何でもやろう」「日本一の試験対策を目指そう」

 

と言ってきた自らの不明を恥じます。

そこで、2週間前の日曜日に実施するテスト対策補講を夜の11時まで延長することにします。
遠征から帰った後の疲れた体でも勉強がしたいという塾生の思いに、私も全力で応える覚悟です」

 


こんな感じで

「とことん宣言」

して対応します。
(まあ、私はやりたくはありませんが…)

少なくとも塾ですので、

「全員参加型の補講」

を私はしません。あくまでも自由参加を前提とします。

今となっては…ですが、クレームを入れられた時に即、

 

「わかりました。私、11時でも12時でも付き合いますので、
遠征から帰って来たら塾に来てください」
と言えれば良かったですね。まっ、これも経験だと思って頭を悩ませてください。
塾経営者の醍醐味と思って…。

この母親も、我が子がカワイイと思えばこそのクレームでしょう。
こうした母親を上手に啓蒙するのも

「塾の役割」

と覚悟してください。

 

塾生獲得実践会(全国学習塾援護会)
森 智勝

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