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2025年11月号 小笠原先生の「明日の空(Tomorrow’s sky)に向かって」121

小笠原先生のコラム

小笠原先生 小笠原 隆政(おがさわら たかまさ) <プロフィール>
塾ミシガン高知 代表
・1985年 米国ミシガン大学の語学理論を用いた英語・英会話教室を開設
不変の語学理論(聴・話・読・書)の応用実践教育を展開
学習時間が自由に選べてキャンセル、変更が自由にできるチケット制を導入
・2004年 英語教室では大変成果があがり、多くの方に切望されていた総合塾に改編
パソコン教材も導入し、他の科目も語学理論に沿って立体的に応用指導
・2015年 教室創立30周年名大SKY連載コラム「明日の空に向かって」の執筆開始
教室が英語の四技能を測れるCBT検定の「GTEC」検定会場に認定される
大きな塾よりは自分の目の届く範囲での直接指導塾にこだわって経営している

 

塾長が陥る「経営の素人」の罠
現金商売でも歴史ある塾が破産し潰れる理由

こんにちは、このコラムも残すところ今回を入れて後3回になりました。やはり今回も、私が身を置く塾経営の内容になりそうです。100人の塾長がいたら100通りの経営方式があるでしょうから、フランチャイズではない限り、塾長は自由に塾を経営できます。しかし、生徒が集まる塾とそうではない塾が、厳然と出来てくるのです。

世の中に流行り廃りがあるように、塾業界も隔世の感があります。私が塾を始めた1980年代の「黄金時代」から、2000年代、そして現代の2025年。時代の波は常に押し寄せています。黄金時代に塾を起業し、一大企業として育てた方たちは、やはりそれなりの経営哲学をお持ちのようです。ところが、帝国データバンクの調べでは、今年の1月から9月までに倒産した負債1千万円以上の学習塾の数が37件で過去最高になったという事実をご存知でしょうか。年末までには、更に増える可能性があるということです。

原因は様々ですが、やはり人手不足と少子化は、もはや避けられない問題として挙げられます。

「教育」より「利益」が心を支配する瞬間
生徒が増えてくると、経営者はどうしても多教室化を考えがちです。その瞬間、塾長の心は「教育」よりも「企業としての利益」のことが支配し始めるのです。資金に余裕があれば、人も雇うことができるでしょうし、広告宣伝も頻繁にして生徒集めも可能かもしれません。幸か不幸か、塾産業はそんなに設備費は要らず、前金がもらえる現金商売ですから、掛け売りが多い他のビジネスよりはやりやすいはずです。それなのに、なぜ大きな経営基盤もあり、歴史や実績がある塾が破産して潰れてしまうのでしょうか。

私は、やはりそこには塾長の「焦り」と「急ぎ」と「欲」が、経営者としての心を支配するからだと思います。塾長は教育の専門家かもしれませんが、経営では素人かもしれないからです。

成功の習慣は、他の教室で確実に再現できているか?
生徒が多く集まれば、多教室経営も悪いとは申しません。しかし、重要なのは、塾長が最初の教室でやって来た「成功の習慣」を、他の教室でも確実に同じ様にできているか、という点なのです。それができなくてある事を実行した、塾長の事例です。

彼は、月水金をA町で、火木土を隣町のB町で教室を開き、最初はうまく回り始めました。しかし、数年経って二教室合わせても一教室分くらいの人数しか集まりません。だんだん二つの教室を維持してゆくのが、大変になってきたのです。ある人に相談したら、二つの町の間で教室を大きくやったらどうかと言われて、単純に深くも考えずそうしたようですが、教室移転費用チラシ宣伝その他の経費が厳しく、自分では捻出できませんでした。

結局、借金をして教室も大きくきれいにして移転は出来ましたが、生徒は思う様には集まらず、経費は増え借金の支払いも重なり、半年も持たず教室は閉鎖されたそうです。結果論ですが、最初のA町で欲を出さずに、定員制で確実に利益と進学実績を上げて頑張っていたら、きっとその塾長は、塾を長く続けられていたように私は思います。

研修などでは多教室や生徒数が多い塾が注目されますが、欲張らず定員制で確実に利益と進学実績を上げ、塾長一人で健全経営を長く続けている塾も多いことを、忘れないでほしいです。塾長の健康管理が一番大切な事は、言うまでもありません。

To be continued・・・

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