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教育評論家・後藤武士先生コラム
第三回 目から鱗のチラシ作成

2009年 2月 1日

後藤武士の教育コラム

<プロフィール>
青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライヴ (GTP) 主宰。学部在学中に東京・神奈川にて大手予備校勤務。大学院在籍中に名古屋にて起業。現在は日本全国授業ライヴと称して学問の楽しさを伝道するため全国を行脚中。北は北海道札幌から南は九州沖縄石垣島まで講演、授業ライヴ、そして執筆の日々。
そして、主婦10万人のサイト「キャリアマム」にて教育相談、教育エッセイ連載、毎日中学生新聞(毎日新聞社)で「やさしい読解力」連載、同じく「悩みの宝石箱」の相談員をつとめるなど執筆活動以外にも様々なメディアで活動。
第三回 目から鱗のチラシ作成

<プロフィール>
青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライヴ (GTP) 主宰。学部在学中に東京・神奈川にて大手予備校勤務。大学院在籍中に名古屋にて起業。現在は日本全国授業ライヴと称して学問の楽しさを伝道するため全国を行脚中。北は北海道札幌から南は九州沖縄石垣島まで講演、授業ライヴ、そして執筆の日々。
そして、主婦10万人のサイト「キャリアマム」にて教育相談、教育エッセイ連載、毎日中学生新聞(毎日新聞社)で「やさしい読解力」連載、同じく「悩みの宝石箱」の相談員をつとめるなど執筆活動以外にも様々なメディアで活動。

塾を認知してもらう方法は口コミをはじめとして、サイト、ブログ、パンフ、DMなどいろいろありますが、やはり王道はチラシでしょう。

募集をかけないという塾でも年に一度くらいはチラシを打ちます。チラシは広報もさることながら、存在確認であるとか、ご挨拶の意味もありますし、チラシを打つことで既に在塾している生徒の親御さんらの安心感を得ることもできます。

ところでそのチラシですが、非常に勘違いしたチラシが多いように思います。悪いチラシではないのです。むしろ教務に自信があったり、教室運営や面倒見に実績のある人ほどへんてこなチラシを作ってしまう傾向を感じます。センスのある人のチラシもそうですね。

かっこいいんです。チラシ自体は。よくできています。よく読めば。素敵です、世界に入り込めれば。そう、悪くはないのです、ただそもそもチラシとはということを考えたときに、少なくとも集客の目的としてどうなのかと問われたら疑問符がつかざるを得ないようなものが多いのです。

昨今では塾生や親御さん向けの広報を作成している先生方も多いようです。それらとチラシとの決定的な違いってわかりますか。

正解は読者層です。塾生および保護者向けの広報は読者が限定されています。しかもその読者というのは塾生および親御さんですから、既にみなさんの塾を選択してくれている人たちが対象となっています。既に入塾してくれている子らですから、少なくとも塾に対しての知識があります。対象、価格、システム、方針、これらについて一から説明する必要はありません。それだけでなく、一部の生徒や親御さんを除いて、前提として好意的に見てくれる人たちが対象となっています。認知の度合いからすればかなり楽なスタート地点です。みなさんがお話しする場合、自己紹介から必要な相手に話すのと、自塾の生徒に話すのでは手間がぜんぜん違いますね。前者の場合、まず関心を持ってもらわねばなりません。その上で自己紹介なのですが、実はその前にもう一段存在します。自己紹介を聞いてくれるだけの時間を割いてやろうと、相手に思ってもらうように仕向けることです。その上で自己紹介ができて、そしてようやく本題に入ることが可能になります。

チラシはこれと同じなのです。チラシではまず認知してもらうことが必要になります。「見よう」「読もう」と思ってもらうことが肝心になります。実際に見て読んでもらえるかが肝要になります。内容のよしあしが問われるのはその後のことです。そもそも見てもらえなければどうにもなりません。読んでもらえなければ何にもなりません。

みなさんは「読解力が必要なチラシ」を作っていませんか。読解力が必要なチラシを作っても読めるのは読解力がある人たちだけです。読解力がある人たちはそれなりに教育も施しているでしょうから、塾については既に対応済みだったり、地域によっては塾など不要をする方たちが多いように思います。このようなチラシを好んで読むのは、はじめから大手に通塾させている人たちとか、塾マニアあるいは塾ジプシーの素人評論家が多いのではないでしょうか。

みなさんが詠んで欲しい人たちはそんな人たちではないはずです。蒸気のようなチラシを作っても喜ぶのは同業他社だけです。わざわざ手間隙かけて費用をかけて、同業他社を喜ばせるのもばかばかしい話ですね。彼らにネタを提供するのも癪です。もっとも「うちの塾は小さいけれど、俺はこんなにしっかりした方針で(システムで)やっているんだ」という叫びにはなりますから、プライドは満足させることができるかもしれませんし、溜飲を下げることはできるかもしれませんが。でもやっぱりむなしいですよね。

チラシは同業他社に見せるためのものではありません。あくまでも入塾予備軍の生徒さんや親御さんに見てもらうためのものです。自塾の生徒や親御さんの満足を得るのも副産物でしかありません。ここを勘違いした独り善がりのチラシを作ってしまうと、「おかしいなあ 内容は完璧なのに」と鳴らない電話の前で神様にうらみつらみを投げかける時間が増えてしまうことになります。同業他社向けのチラシだけは絶対に作ってはいけません。

ではどんなチラシが理想でしょうか。まずは認知されることです。わかりやすいことです。手法として逆にあえてわかりにくいチラシを作って問い合わせを狙う方法もありますが、それは上級者向けなので、ここでは割愛します。塾名、対象学年、料金、曜日時間、システム、指導者、それらがよくわかるもの。それも興味を持つ順に次の情報に誘導できるものが理想です。デパートや百貨店のように動線が確保されたチラシを作るとよいでしょう。視線の移動を意識してレイアウトをくんで見ましょう。難しかったら業者に委託するのも一つの方法です。最近は外注が本当に安くできるようになりました。

塾のチラシはどこまでいっても自画自賛になってしまいます。それを避けるには他者からの推薦が一番なのですが、小さな塾ほど商圏も小さく、ゆえに匿名性が担保しにくいために、生徒もなかなか実名を使わせてくれません。競合しない地域の他の塾さんにお願いできる人はそれもよいでしょう。それが不可能なら、やはり業者に委託することをお勧めします。なぜなら同じ自画自賛でも本人自らが述べているのと、一度他者を挟むのとではまるでニュアンスが違ってきますから。どうしても業者に依存したくなければ、自塾のバイトなどにインタビューしてもらい、それを誰かにまとめてもらってもよいでしょう。自分自身が延々と語るよりは説得力が出るはずです。

それからもう一つお勧めしたいのはライフスタイルの変化の提示です。具体的には「この塾に通うとこんな風に変わることができる」「この塾に入りさえすればこんな自分になれる」というイメージを想起させることです。もちろん実際はそんなに簡単ではありませんが、きっかけとしては非常に重要です。

車のCMをいくつかご覧ください。見事なまでにそういうつくりになっていることに気がつかされると思います。性能などは二の次。「この車のオーナーになるとこんな生活が待っている」、そこまで想像してしまったら、多少価格や条件が異なっても、もはや消費者はとまることができません。ライフスタイルの提示がある広告は強いのです。そう言えば通信添削や大手の家庭教師派遣業者のCMだって、そうしたつくりになっているものが多いですね。

いかがでしたか、チラシのお話。これまでどうもチラシで集客できなかった先生方は是非参考になさってください。それではまた。

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