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教育評論家・後藤武士先生コラム
第五回 白紙テストは究極のテスト

2009年 5月 1日

第5回 白紙テストは究極のテスト  <プロフィール>
青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライヴ (GTP) 主宰。学部在学中に東京・神奈川にて大手予備校勤務。大学院在籍中に名古屋にて起業。現在は日本全国授業ライヴと称して学問の楽しさを伝道するため全国を行脚中。北は北海道札幌から南は九州沖縄石垣島まで講演、授業ライヴ、そして執筆の日々。
そして、主婦10万人のサイト「キャリアマム」にて教育相談、教育エッセイ連載、毎日中学生新聞(毎日新聞社)で「やさしい読解力」連載、同じく「悩みの宝石箱」の相談員をつとめるなど執筆活動以外にも様々なメディアで活動。

教科指導には導入→実践→確認→復習→克服なんて手順があるんですが、今回はそのうちの「確認」のお話をしましょう。

確認と言えば何と言ってもテスト。不慣れな先生などは「いい?わかった?」なんて何度も聞いているけど(ぼくもリズムとるために口にしちゃいますけどね)これはもうほとんど意味がないですよね。

「わかった?」と聞かれて、「わからない」と答えられるだけの生徒は半数いればいいほうでしょう。たいていの生徒はわかっているかどうかさえわかっていないもの。仮にわかっていないと自覚していても、それを口にしさえしなければ、やり過ごすことができるわけで、終了時刻を心待ちにしている生徒は軽々しく「わからない」とは口にしません。教える側を気遣って、声に出せない子もいますし。

だからやっぱりやらせてみるのが一番速い確認法となるわけです。そこで小テストなんてものをやるのですが。

これ、もちろん悪い手法ではありません。ただね、小テストの問題用意するのも大変ですよね。紙代もかかるし、印刷費もバカにならない。もちろん生徒の成績のためですから必要経費ではあるのですが。作る手間もかかるし、かといってそれを避けようと出来合いを使ってもどうもしっくりこない。一ページにも満たないような進度での確認となるとなおさらです。市販のものだと問題数を確保できない。

時間の問題もあります。ひとつ新しいことを教える度に、テストやってたんじゃ、なかなかカリキュラムが進まない。ただでさえ、学校よりはるかに少ない時間しか与えられていないのですから、これは痛い。

そこで提案。題して白紙テスト。ぼくの著書をお読みいただいている先生方の中には既に実践されてる方もいらっしゃることでしょう。効果は絶大です。やり方は簡単。毎回の授業の終了時間を少しだけ早めて、その時間にテストをするだけ。「なあんだ、それだったらどこでもやってることじゃない」いいえ、ここからが違うんです。そのテスト用紙というのが白紙。まっさら。そして問題は「今日学習したことをわかる限り書く」これだけです。

文章で説明するのもよし。図を使ったりイラストを用いるのも可。箇条書き、一問一答タイプの問題作成、すべてOK

とにかく形式は問いません。どんな形でもいいので、その日に習ったことで自分が理解したことを出来る限り書く。

これ、とんでもなく力がつきます。何よりよいのは、これだとごまかしが利かないこと。実はね、問題ってヒントでもあるんですよね。だって答えを連想させるものこそが問題なのですから。自分がよく覚えているところとそうでないところなど、出来不出来に運の要素もからんできちゃいますし。

でも、この白紙テストならそれはない。ありえません。だって、白紙なんだから。

これね、実は思わぬ副産物を生み出します。白紙テストを最後にやらされるとわかっていると、生徒は気を引き締めて授業に臨むようになります。だって覚えてないと何も書けないんだから。

採点とかはそれほどこだわらなくても結構です。満点なんてあってもなくてもかまわない。やらせっぱなしはさみしいですけどね。それよりむしろ大切なのは、テキストやノートを見ないで解答させること。見れば書けるのは当たり前ですから。ただし極端に成績がよくない子の場合は、まずノートをつける習慣を持たせるために、見てよいとする手もあります。それ以外の子らだったら、最初は抵抗があるでしょうが、やはり何も見ないで答えるように練習しましょう。

授業の最後に、自分自身の頭で習ったことを反復する。理にかなってますよね。白紙テスト、ぜひやってみてください。

そうそう、テスト用紙ですが、ミスコピーなどの裏で十分ですよ。その代わり出来るだけファイリングしておいてくださいね。

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