森智勝先生の「地域1番塾への道」

森 智勝(もり ともかつ) <プロフィール>
全国学習塾援護会 主宰、塾生獲得実践会 代表
・26歳で学習塾設立、7教室を経営する。
・平成14年 塾専門のマーケティング勉強会「塾生獲得実践会」設立
・平成18年 「全国学習塾援護会」設立
・現在、全国各地で塾経営者を対象としたセミナーの講演、スタッフ研修に奔走。
全国私塾情報センター主催の「春季大都市縦断セミナー」「地方塾セミナー」に講師として参加。
机上の空論ではない具体的な内容と、参加者にプラスのエネルギーを生じさせる講演には定評がある。今、最も支持されている塾経営アドバイザーの一人。

「地域1番塾への道」2021.5月号-退塾防止№1の塾を目指して②

一般的な客離れの原因の3つ目は「飽きる」です。

「飽きる」は全ての客が常連客と言ってもいい塾にとって、最も深刻な問題です。誰もが平坦な日常には飽きるものです。そしてこの「飽きる」は、心変わりの最大の要因です。

以前テレビで、某大手居酒屋チェーンの駅前進出の様子を放映していました。近隣のこぢんまりとした居酒屋の店主が取材に応えていました。「〇〇屋? 関係ないよ。うちは昔からの常連客でやってるから、脅威でも何でもない」と。ところが某居酒屋が開店の日、カメラがその店を覗くと客がほとんどいません。多分常連客達は、無料ビール券を握りしめて新装開店したチェーン店に行っているのでしょう。

問題はこの後です。チェーン店に行った常連客は、少なからず馴染みの店主に対する後ろめたさを感じています。次に顔を出すと、嫌みのひとつでも言われそうです。また、無料ビール券につられて行ったチェーン店は思いの外、安くて美味しくて、店員の女の子も若くてカワイイ…そんなこんなで馴染みだった店から足が遠のいて、ついには忘れてしまうのです。

常連客は有難い存在です。しかしそこに胡坐をかいていると、大きなしっぺ返しを喰らいます。その「こぢんまりとした店」はチェーン店の開店キャンペーン期間中に、常連客を対象とした「無料呑み放題キャンペーン」でも実施すべきでした。そして何より、そんな浮気心を起こさせない手を日常から打っておく必要があったのです。

かつて塾の現場でも同じことがありました。塾生の一人が言ってきます。「先生、ゴメンね。今年の夏期講習は友達に誘われて、駅前に開校した〇〇予備校に行くね。お母ちゃんに言ったら、『開校記念で無料だから助かる』って賛成してくれたから」と。こうして某大手の無料夏期講習を受講した生徒の何人か(もしかしたら全員)は、9月に戻ってくることはありません。校舎は広くて綺麗だし、教師は若くてハツラツと授業を展開しています。データも豊富…小さな個人塾には太刀打ちできません。こうした浮気心を生じさせる原因が「飽きる」です。

「飽きる」の撲滅のためには言うまでもなく、「変化」「ワクワク感」を創出することです。これは某ファミリーレストランの例です。その店(チェーン店ではなく独立店)では毎日、何かしらのキャンペーンを実施しています。「誕生月の人、5割引」「レジでジャンケンに勝ったら食事券プレゼント」「赤いものを身に付けて来店したら10%引き」「カップルで来店の人、ドリンクサービス」…そうしたキャンペーンを表示したカレンダーを店舗とホームページに大きく掲載しています。1つ1つは小さなことですが、店は平日でも家族連れや若いカップルで賑わっています。

繰り返しますが、塾は全ての顧客(生徒)が常連客です。つまり飽きる可能性は全員が持っています。ぜひ日常から「飽きる」の撲滅を心掛けてください。通常授業以外のイベントは重要です。人は、特に子供たちは非日常が大好きです。勉強嫌いな生徒が合宿やオールナイト勉強会で、人が変わったように積極的に取り組むことは珍しくありません。また、スポーツ大会や社会見学会、映画鑑賞会にバーベキュー大会…様々なイベントを生徒や保護者と一緒に楽しんで行うことです。また、日常の小さなイベントも効果的です。ある塾では毎月1回、ほとんどコジツケの記念日を作ってプレゼントを配っています(例:5月は子どもの日にちなみ、「おっとっと」を小分けして配る)。とにかく小さな変化を創り出し、「塾(塾長)は次に何をするだろう」というワクワク感を創り出すことです。

言うまでもないことですが、飽きるのは生徒だけではありません。教師の側にも「飽きている状況」が見て取れることが少なくありません。毎年、教える内容は変わりません。そのため、惰性で指導をしている指導者が少なからず存在します。そうした「飽き」は当然ですが指導クオリティの劣化を招きます。昨年と変わらぬ指導は、相対的には確実に劣化をしています。

「飽きる」は生徒だけでなく講師陣、そして「あなた自身」にも起こる現象だと自覚してください。そして、進化という名の変化を常に求めることです。「飽きる」の撲滅は生徒だけでなく、塾側にも必要なテーマです。

(次回へ続く)

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